「フリーランスや個人事業主のエンジニアは経費にできるものが少なく、節税が難しい」という話を聞いたことはありませんか?在宅ワークが中心だと、経費にできる範囲が分からず、確定申告で損をしていないか不安に感じる方も多いでしょう。

しかし結論から言うと、フリーランスエンジニアでも経費として計上できる項目は数多くあり、正しい知識を身につければ大幅な節税が可能です。賢く経費を計上し、手元に残るお金を最大化させるためにも、是非最後までお読みください。

1. フリーランスエンジニアの経費はぶっちゃけ少ない?上限や経費計上時の記載項目について解説

「フリーランスや個人事業主のエンジニアは、パソコン一つで仕事ができるから経費は少ない」といったイメージをお持ちの方もいるかもしれません。

この章では、フリーランスエンジニアが知っておくべき経費の基本知識から、上限の有無、そして経費計上に必要な記載項目までを詳しく解説します。

1.1 フリーランスにおける経費とは?定義や基本知識を解説

フリーランスにおける経費とは、簡単に言うと「収入を得るために直接必要となった費用」のことです。所得税は、年間の総収入からこれらの経費を差し引いた「所得(儲け)」に対して課税されます。

つまり、経費を適切に計上することで、課税対象となる所得金額を抑え、結果として所得税や住民税の節税につながるのです。

計算式で表すと以下のようになります。

総収入 – 経費 = 所得金額

この所得金額をもとに納めるべき税額が計算されるため、経費を漏れなく計上することがいかに重要かお分かりいただけるでしょう。

エンジニアの業務に関連する支出は、意外と多岐にわたります。どのようなものが経費として認められるのかを正しく把握し、日頃から証拠となる書類を整理しておく習慣が大切です。

1.2 経費計上の記載に必要な項目|宛名・日付・金額・発行者・収入印紙(5万以上)

経費を計上するためには、その支払いを証明する領収書やレシートが必要です。税務調査などで確認を求められた際に、証拠として提示できるように、以下の項目が記載されているかを確認し、大切に保管しましょう。

項目内容
宛名支払いを受けた者の氏名や名称が記載されているか。通常は屋号か氏名を記載してもらいます。
日付取引が行われた年月日が正確に記載されているか。
金額消費税を含んだ支払金額が明記されているか。
但し書き(内容)何に対する支払いかが具体的にわかるように記載されているか。(例:「PC代として」「書籍代として」など)
発行者支払い先の氏名または名称、住所、連絡先が記載されているか。

また、領収書に記載された金額が5万円以上の場合、収入印紙の貼付が必要になることがあります。ただし、クレジットカードで支払った場合は、信用取引にあたるため領収書に収入印紙を貼る必要はありません。

その代わり、領収書には「クレジットカード利用」といった記載が必要となります。

1.3 フリーランスエンジニアの経費に上限はあるのか?

結論から言うと、フリーランスの経費に法律上の上限額はありません。たとえ売上を上回る経費がかかり、その年が赤字になったとしても、それが業務を遂行する上で必要な支出であると合理的に説明できれば、全額を経費として計上することが可能です。

最も重要なのは、金額の大小ではなく「その支出が事業内容に直接関連しているか」という点です。ただし、社会通念上あまりにも高額すぎるものや、関連性が薄いと判断される支出は、税務署から指摘を受ける可能性があります。

なぜその支出が必要だったのかを、客観的な事実に基づいて明確に説明できるようにしておくことが肝心です。

2. フリーランスにとって経費計上が重要な3つの理由について!経費計上するメリットを紹介

「経費の計算は面倒」「何が経費になるのかよくわからない」といった理由で、経費計上を後回しにしていませんか?フリーランスエンジニアにとって、経費を正しく計上することは非常に重要です。

経費計上は単なる義務ではなく、ご自身の資産を守る強力な武器となります。ここでは、経費計上がなぜ重要なのか、その3つの大きなメリットについて詳しく解説します。

2.1 節税効果が大きい

フリーランスエンジニアが経費計上を行う最大のメリットは、なんといっても高い節税効果です。フリーランスが納める所得税や住民税、国民健康保険料などは、年間の売上から必要経費を差し引いた「所得」を基に計算されます。

業務に必要な支出を漏れなく経費として計上すれば、課税対象となる所得金額を圧縮できます。その結果、支払うべき税金の額を大幅に抑えることが可能になるのです。例えば、年間の売上が600万円の場合で、経費が50万円の場合と150万円の場合を比較してみましょう。

項目ケースAケースB
総売上600万円600万円
必要経費50万円150万円
所得(課税対象)550万円450万円

上記のように、経費を100万円多く計上するだけで、課税所得に100万円もの差が生まれます。

所得税は累進課税のため、所得が低くなるほど税率も低くなります。つまり、経費を適切に計上することは、手元に残るお金を最大化するための最も基本的かつ効果的な手段なのです。

2.2 どれだけ業務に投資しているかが見える化できる

経費計上は、節税のためだけに行うものではありません。日々の支出を記録し続けることで、「ご自身の業務のために、いつ、何に、どれだけのお金を使っているか」を客観的に把握できるようになります。これは、業務の健全性を測る上で非常に重要な指標です。

例えば、「今月は新しいプログラミング言語を習得するために技術書を5冊購入した」「クライアントとの打ち合わせでカフェ代が思ったよりかさんでいる」「高性能なPCを購入したことで作業効率が上がった」など、お金の流れが可視化されることで、自身の投資対効果を分析できます。

どの分野にどれだけ投資しているかが明確になれば、「このスキルへの投資は将来の単価アップに繋がりそうだ」「この出費は削減できるかもしれない」といった、データに基づいた戦略的な判断が可能になります。経費の記録は貴重な羅針盤となるのです。

2.3 キャッシュフローの管理につながる

フリーランスとして安定した活動を続けるためには、キャッシュフロー、つまり「お金の流れ」を管理することが不可欠です。経費をこまめに記録・計上する習慣は、そのまま業務全体のキャッシュフロー管理に直結します。

「今月は大きな出費が重なったから、来月は少し抑えよう」「来たる納税の時期に備えて、これくらいは手元に残しておく必要がある」といった資金繰りの計画が立てやすくなり、どんぶり勘定による資金ショートのリスクを未然に防ぐことができます。

特にフリーランスは、会社員と違って収入が月によって変動しがちです。だからこそ、支出を正確に把握し、お金の流れをコントロールすることが、精神的な安定と業務の継続性を保つための鍵となります。確定申告の時期に一年分の領収書をまとめて計算するのではなく、日頃から経費を管理する習慣をつけ、健全なキャッシュフローを維持しましょう。

3. 家賃は経費にできる?フリーランスエンジニアが経費計上できる項目を内訳例とともに紹介

フリーランスエンジニアが業務を行うために支払った費用の多くは、経費として計上できます。この章では、どのような支出が経費として認められるのか、具体的な勘定科目と内訳例を交えて詳しく解説します。

3.1 パソコンやその他の周辺機器の購入|モニター・キーボード・マウスなど

エンジニアにとってパソコンは必須の業務ツールです。パソコン本体はもちろん、モニター、キーボード、マウス、Webカメラ、マイクといった周辺機器の購入費用も経費に計上できます。注意すべき点は、取得価額によって会計処理が異なることです。

取得価額が10万円未満の場合は「消耗品費」として購入した年に一括で経費計上できます。 一方、10万円以上の場合は原則として「固定資産」となり、数年に分けて経費を計上する「減価償却」という処理が必要です。

ただし、青色申告を行っているフリーランスエンジニアは「少額減価償却資産の特例」を活用でき、30万円未満の資産であれば購入した年に一括で経費計上することが可能です。

3.2 通信費|ネット回線・クラウドサービス・レンタルサーバー代

現代のエンジニア業務に不可欠なインターネット関連の費用も経費となります。「通信費」として計上できるものの具体例は以下の通りです。

  • インターネット回線の利用料金(プロバイダー料金含む)
  • スマートフォンの利用料金
  • レンタルサーバーやドメインの取得・維持費用
  • 業務で利用する有料クラウドサービス(AWS、GitHubの有料プランなど)の利用料
  • クライアントとの連絡に使う切手代や宅配便の送料

スマートフォンやインターネット回線をプライベートでも利用している場合は、後述する「家事按分」によって業務で使用した割合分のみを経費として計上する必要があります。

3.3 地代家賃代|事務所の家賃や自宅兼事務所の場合など

別途オフィスを借りている場合、その家賃は全額「地代家賃」として経費にできます。一方、自宅を業務スペースとしても利用している場合、「家事按分」という考え方を用いて家賃の一部を経費に計上できます。

家事按分とは、生活費と業務費が混在する支出について、業務で使用した割合を合理的な基準で算出し、その部分だけを経費とする手続きです。

家賃の按分には、一般的に以下の基準が用いられます。

按分基準計算方法の例
面積基準(業務で使用する部屋の面積 ÷ 自宅全体の面積)例:自宅80㎡のうち20㎡の部屋を業務専用で使っている場合 → 20 ÷ 80 = 25%
時間基準(1日の業務時間 ÷ 24時間)例:1日平均8時間業務している場合 → 8 ÷ 24 ≒ 33.3%

どちらの基準を用いるかは、業務の実態に合わせて合理的に判断する必要があります。税務署に説明を求められた際に、明確な根拠を示せるようにしておくことが重要です。

3.4 水道光熱費|電気代・ガス代・水道代

地代家賃と同様に、自宅兼事務所の場合の電気代、ガス代、水道代も家事按分によって一部を経費計上できます。 特にエンジニアはパソコンやモニターなど多くの電力を使用するため、電気代は他の光熱費に比べて業務使用割合を高く設定しやすい傾向にあります。

家賃と同様に、業務時間などを基に合理的な割合を算出して計上しましょう。

3.5 消耗品費|文房具やコピー用紙などのオフィス用品

「消耗品費」とは、取得価額が10万円未満、または使用可能期間が1年未満の物品を購入した際の費用を指します。 具体的には以下のようなものが該当します。

  • 文房具(ペン、ノート、ファイルなど)
  • プリンターのインクやコピー用紙
  • USBメモリやSDカードなどの記録メディア
  • 業務用のデスクや椅子(10万円未満のもの)
  • ソフトウェア(インストール型で10万円未満のもの)

3.6 研修費|資格書籍の購入・セミナーなどへの参加など

技術の進化が速いIT業界で活躍し続けるためには、継続的な学習が欠かせません。スキルアップを目的とした支出は「新聞図書費」や「研修費」として経費計上できます。

  • 技術書や専門書の購入費用
  • 技術系ニュースサイトの有料購読料
  • 勉強会やセミナー、カンファレンスへの参加費
  • オンライン学習プラットフォームの受講料
  • 資格取得のための受験料

3.7 租税公課|固定資産税・印紙税

「租税公課」とは、国や地方公共団体に納める税金や公的な負担金のことです。 すべての税金が経費になるわけではなく、「業務を遂行する上で直接必要な税金」は経費になり、「業務で得た利益(所得)に対して課される税金」は経費になりません。

経費にできる税金(租税公課)経費にできない税金
個人事業税、消費税(税込経理方式の場合)、固定資産税(業務使用部分)、自動車税(業務使用部分)、印紙税、登録免許税など所得税、住民税、国民年金、国民健康保険税、延滞税や加算税など

例えば、持ち家を事務所として使っている場合の固定資産税は、家賃と同様に家事按分して業務使用分を経費にできます。

3.8 接待の交際費|クライアントとの飲食代・贈答品代・手土産など

クライアントや業務上の関係者との良好な関係を築くための費用は「接待交際費」として経費にできます。 例えば、打ち合わせ時の飲食代、お中元やお歳暮、手土産代などが該当します。いつ、誰と、どのような目的で支出したのかを明確に記録しておくことが大切です。

3.9 第三者への外注費|デザイン・ライティング・動画編集代など

自身の業務の一部を他の専門家へ依頼した場合の費用は「外注費」として計上します。 エンジニアの場合、Webサイトのデザインをデザイナーに、コンテンツ作成をライターに依頼するケースなどが考えられます。

3.10 出張費|宿泊費・交通費・交通公共機関の利用代

遠方のクライアント先への訪問や、地方で開催されるセミナーへの参加など、業務のための移動や宿泊にかかる費用は「旅費交通費」として経費になります。電車代、バス代、飛行機代、タクシー代、宿泊費などが含まれます。

3.11 広告宣伝費|SNS広告・webサイト制作費

新規顧客を獲得するために、自身のスキルやサービスを宣伝するための費用は「広告宣伝費」として計上できます。

  • ポートフォリオサイトの制作・維持費用
  • 名刺の作成費用
  • Web広告(リスティング広告、SNS広告など)の出稿費用
  • パンフレットやチラシの作成費用

3.12 保険料|事業用の損害保険・賠償責任保険など

業務に関連する万が一の事態に備えるための保険料も経費となります。例えば、納品したシステムに不具合があり損害賠償を請求された場合に備える「賠償責任保険」などが該当します。

3.13 支払い手数料|銀行振り込み手数料・決済サービスの利用料

業務上の取引で発生する手数料も経費です。「支払手数料」として、銀行の振込手数料や、クラウドソーシングサイトなどで売上から差し引かれるシステム利用料などを計上できます。

3.14 冠婚葬祭費|取引先の慶弔に関する費用の場合

業務上の付き合いがある取引先の結婚祝いや香典などは、「接待交際費」として経費に計上することが認められています。ただし、社会通念上、常識的な範囲の金額であることが前提です。

4. 失敗しないために!フリーランスエンジニアが経費にできない項目一覧を紹介

フリーランスエンジニアとして活動する上で、原則として「業務の遂行に直接必要ではない支出」は経費として認められません。もし誤って計上してしまうと、税務調査で指摘され、追徴課税や延滞税といったペナルティが課される可能性もあります。

ここでは、特に間違いやすい経費にできない項目の具体例を紹介します。

4.1 所得税・住民税

所得税や住民税は、フリーランスエンジニアとしての業務で得た「所得」に対して課される個人の税金です。業務を行うために必要なコストではないため、経費として計上することはできません。

前の章で触れた固定資産税などが経費になるのは、それが業務用のスペースや設備に対して発生する税金、つまり業務に関連する費用だからです。「業務に関連する税金」か、「個人が得た所得に対する税金」かという点が大きな違いです。

4.2 スーツ・ビジネスバッグなどの費用

エンジニア業務でクライアントと打ち合わせをする際に着用するスーツや、PCを持ち運ぶためのビジネスバッグなども、原則として経費に計上することは難しいです。

なぜなら、これらの衣類やカバンはプライベートでも使用できる「家事関連費」とみなされるためです。税務上、業務専用であることを客観的に証明するのが困難なため、経費として認められにくいのが実情です。

ただし、明らかに業務でしか使用しない作業着や、社名ロゴが入ったユニフォームのようなものであれば、経費として認められる可能性があります。

4.3 プライベートでの出費

当然ながら、業務と全く関係のないプライベートな支出は経費になりません。 これは最も基本的なルールですが、自宅で仕事をしていると公私の区別が曖昧になりがちなので注意が必要です。具体的には、以下のようなものが該当します。

  • 家族や友人との食事代
  • 趣味や娯楽のための費用(書籍、映画、旅行など)
  • 個人の健康管理や医療に関する費用(ジムの会費、人間ドックの費用など)
  • 国民健康保険料、国民年金保険料(これらは経費ではなく社会保険料控除の対象です)
  • 交通違反の罰金や延滞税などのペナルティ

これらの項目を誤って経費にしないよう、日頃から領収書を整理し、業務に関連する支出かどうかを明確に区別する習慣をつけましょう。

分類具体例経費にできない理由
税金所得税、住民税、相続税、贈与税業務で得た所得や個人の資産に対して課される税金であり、業務遂行上の費用ではないため。
保険料国民健康保険料、国民年金保険料業務上の経費ではなく、個人の社会保障に関する支出であり、所得控除の対象となるため。
衣類・装飾品スーツ、私服、ビジネスシューズ、腕時計、メガネプライベートでも使用可能であり、業務専用であることを客観的に証明することが困難なため。
個人的な支出家族との食事代、趣味の道具購入費、医療費、美容院代、罰金業務との直接的な関連性がなく、個人の生活費(家事費)とみなされるため。

5. フリーランスエンジニアの経費率の平均と計算方法を紹介

フリーランスエンジニアとして活動する上で、自身の経費が売上に対してどのくらいの割合を占めているかを示す「経費率」を把握することは、健全な経営状態を保つために非常に重要です。

経費率が高すぎると利益を圧迫し、低すぎると業務に必要な投資ができていない可能性も考えられます。この章では、フリーランスエンジニアの平均的な経費率と、その計算方法について具体例を交えながら分かりやすく解説します。

5.1 経費率とは?フリーランスエンジニアの平均経費率について

経費率とは、売上(収入)全体に対して、業務を遂行するためにかかった経費が占める割合のことを指します。国税庁などが「経費率は〇%以内でなければならない」といった明確な基準を設けているわけではありませんが、業種ごとにおおよその目安が存在します。

商品の仕入れが発生する小売業や製造業は経費率が高くなる傾向にありますが、フリーランスエンジニアのような自身のスキルを提供して対価を得る職種の場合、経費率は比較的低くなるのが一般的です。具体的な平均経費率は働き方によって大きく変動しますが、おおよそ15%〜50%程度が目安とされています。

例えば、在宅勤務がメインで高価な機材投資も少ない場合は経費率が低くなる傾向にあり、一方で事務所を借りていたり、頻繁に外注を利用したりする場合は経費率が高くなるでしょう。

この目安を大幅に超える経費率が計上されていると、税務署から「業務と関係のない私的な支出まで経費に含めているのではないか」と疑われ、税務調査の対象となる可能性が高まるため注意が必要です。

もちろん、業務に必要不可欠な支出であることが合理的に説明できれば、経費率が目安を超えていても問題ありません。

5.2 フリーランスのエンジニアの経費率の求め方を解説

経費率は、以下の簡単な計算式で算出できます。

経費率(%) = 経費の合計額 ÷ 売上(収入)の合計額 × 100

ご自身の状況に当てはめて計算してみましょう。ここでは、年収が異なる2つのケースを例に挙げて具体的に計算してみます。

項目ケース1ケース2
年間売上(収入)800万円1,000万円
年間経費280万円500万円
経費率の計算280万円 ÷ 800万円 × 100500万円 ÷ 1,000万円 × 100
経費率35%50%

ケース1の場合、経費率は35%となり、平均的な範囲内と言えるでしょう。

ケース2では経費率が50%となっています。もし特別な機材投資や外注費などがかさんだ年であれば問題ありませんが、毎年この水準が続くようであれば、経費の内訳を見直してみるのも良いかもしれません。

このように自身の経費率を定期的に計算することで、客観的に経営状況を把握し、節税対策や投資計画を立てるための重要な指標となります。

6. フリーランスエンジニアが経費計上する際に注意すべきポイントについて解説

経費を正しく計上することは、フリーランスエンジニアにとって重要な節税策です。しかし、ルールを誤って解釈したまま計上してしまうと、税務調査で指摘を受け、追徴課税という思わぬペナルティを課せられるリスクも潜んでいます。

安心して日々の業務に集中するためにも、経費計上における注意点をしっかりと理解しておきましょう。

6.1 領収書や請求書を保管する

経費を計上する上で、その支払いを証明する領収書や請求書などの証憑(しょうひょう)書類は、必ず保管しなければなりません。

これらは、その支出が業務のために使われたことを客観的に示す重要な証拠となります。法律によって保管期間が定められており、確定申告の方法によって異なります。

申告方法保管期間備考
青色申告原則7年間※前々年分の所得が300万円以下の場合は5年間
白色申告原則5年間

これらの書類は、税務調査の際に提示を求められることがあるため、日付順や項目別に整理して、いつでも取り出せるようにファイリングしておくことをお勧めします。

6.2 支出と業務との関連性を明確にする

経費として認められるための大原則は、「その支出が業務の遂行に直接必要である」ということです。プライベートな支出と業務上の支出の境界が曖昧になりがちなフリーランスだからこそ、常に関連性を意識することが重要です。

6.3 経費の分類を正確に行う

経費を帳簿に記録する際は、「勘定科目」を用いて分類します。

この分類を正確に行うことで、年間の支出の内訳を正しく把握でき、経営状況の分析にも役立ちます。どの勘定科目に仕分けるべきか迷った場合は、国税庁のウェブサイトを参照するか、税理士などの専門家に相談しましょう。

6.4 私用と業務用で行っている場合は家事按分を考える

自宅をオフィスとして使用している場合、家賃や水道光熱費、通信費などは、業務で使用した分とプライベートで使用した分を合理的な基準で分ける「家事按分(かじあんぶん)」という計算が必要です。

6.5 税務署から指摘を受けても説明できるようにする

フリーランスであっても、税務調査の対象となる可能性はゼロではありません。 万が一調査の連絡があった際に慌てないよう、日頃から準備しておくことが大切です。

経費計上の根拠となる領収書を整理し、なぜその支出が業務に必要だったのかを具体的に説明できるようにしておきましょう。特に高額な支出や、プライベートとの区別がつきにくい支出については、より丁寧な記録を心がけましょう。

6.6 事務所やオフィスへの出社と在宅での経費の基準に気を付ける

働き方によって、計上できる経費の種類は異なります。クライアント先に常駐して業務を行う場合は、主に交通費や出張費などが経費の中心となります。

一方、在宅で業務を行う場合は、前述の家事按分を適用した地代家賃や水道光熱費、通信費などが主な経費となります。ご自身の働き方に合わせて、計上できる経費の種類を正しく理解しておくことが大切です。

6.7 節税のために経費を使い過ぎない

「経費を使えば税金が安くなる」というのは事実ですが、それはあくまで結果論です。経費は、業務に必要な支出をした場合にのみ計上できるものです。

節税のためだけに不要なものを購入するのは本末転倒であり、手元のキャッシュを減らすだけの結果になりかねません。経費は、将来の売上につながる「投資」であるという意識を持つことが重要です。

6.8 インボイス制度で変わった領収書の取り扱いに注意する

2023年10月1日から始まったインボイス制度により、消費税の仕入税額控除を受けるためには、原則として「適格請求書(インボイス)」の保存が必要になりました。 

これには、領収書やレシートも含まれます。 自身が課税事業者であり、取引先から受け取る領収書がインボイスの要件(登録番号や適用税率、消費税額等の記載)を満たしているかを確認する必要があります。

要件を満たしていない場合、仕入税額控除が受けられず、納税額が増えてしまう可能性があるため注意が必要です。

6.9 番外編.領収書がない時の対処法について

万が一、領収書をもらい忘れたり、紛失してしまったりした場合でも、諦める必要はありません。必ずしも領収書でなくても、支払いを証明できれば経費として認められる可能性があります。具体的には、以下の方法が考えられます。

  • 出金伝票を作成する: 日付、支払先、金額、内容を記載した出金伝票を自分で作成します。
  • レシートやクレジットカードの利用明細を利用する: レシートは領収書の代わりになります。 また、クレジットカードの利用明細も支払いの証明として有効です。
  • 招待状や案内メールを保管する: 冠婚葬祭費やセミナー参加費など、領収書が出ない場合は、招待状や案内メールなどが支払いの証拠になります。

ただし、これらはあくまで例外的な対応です。原則として、領収書は必ず受け取り、大切に保管する習慣をつけましょう。

7. 知らないと損!経費を計上する際のおすすめの節税方法を紹介

フリーランスエンジニアとして収入が増えてくると、次に気になるのが「税金」の問題です。日々の業務で発生した費用を経費として計上するだけでも節税効果はありますが、さらに踏み込んだ対策を行うことで、手元に残る資金を最大化できます。

ここでは、経費計上とあわせて活用したい、効果的な節税方法を3つ厳選してご紹介します。これらの制度を正しく理解し、活用することで、将来の安心にもつながります。

7.1 青色申告特別控除を活用して税負担を軽くする

フリーランスエンジニアになったら、まず検討したいのが「青色申告」です。確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類がありますが、青色申告を選択することで、最大65万円の所得控除を受けられる「青色申告特別控除」という大きなメリットがあります

所得控除とは、所得(儲け)から一定額を差し引ける制度のことで、課税対象となる所得が減るため、結果的に所得税や住民税の負担を軽減できます。

最大65万円の控除を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 事業所得または事業的規模の不動産所得があること
  • 正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳していること
  • 作成した貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付し、法定申告期限内に提出すること
  • e-Taxによる電子申告、または優良な電子帳簿保存を行っていること

上記の電子申告などの要件を満たさない場合でも、55万円の控除が受けられます。手間をかける価値のある、非常に節税効果の高い制度なので、ぜひ活用しましょう。

7.2 iDeCoや小規模企業共済を利用して税制優遇を受ける

将来への備えと節税を両立できる制度として、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と「小規模企業共済」の活用がおすすめです。これらの制度の最大のメリットは、支払った掛金の全額が所得控除の対象となる点です。

それぞれの制度には以下のような特徴があります。

制度名特徴掛金上限額(フリーランスの場合)
iDeCo(個人型確定拠出年金)自分で掛金を拠出し、運用方法を選んで将来の年金を形成する私的年金制度。運用益も非課税になるメリットがあるが、原則60歳まで引き出せない。月額68,000円(年間816,000円)
小規模企業共済フリーランスや個人事業主のための「退職金制度」。廃業や退職時に共済金を受け取れる。掛金の範囲内で低金利の貸付制度も利用可能。月額70,000円(年間840,000円)

どちらの制度も、将来の生活資金を準備しながら、現在の税負担を大きく軽減できる強力なツールです。自身のライフプランや資金計画に合わせて、一方または両方の制度への加入を検討してみましょう。

7.3 法人化して節税の可能性を広げる

所得が一定の金額を超えてきた場合、「法人化(法人成り)」も有力な節税の選択肢となります。個人事業主の所得税は、所得が増えるほど税率が高くなる「累進課税」(最大45%)ですが、法人税は原則として一定の税率です。

そのため、所得が800万円〜1,000万円程度を超えると、法人化した方が税負担を抑えられる可能性があります

法人化による主な節税メリットは以下の通りです。

  • 給与所得控除の活用:自分自身への給与を「役員報酬」として経費にでき、さらに給与所得控除が適用されるため、個人の所得税負担を軽減できます。
  • 経費にできる範囲の拡大:生命保険料の一部や、家族への退職金の支払いなども経費として認められる場合があります。
  • 消費税の免除:課税売上高が1,000万円を超えたタイミングで法人化すると、設立から最大2年間、消費税の納税が免除される可能性があります。

ただし、法人化には設立費用や社会保険への加入義務、会計処理の複雑化といったデメリットも伴います。 業務の規模や将来の展望を見据え、税理士などの専門家にも相談しながら慎重に検討することが重要です。

8. フリーランス・個人事業主のエンジニアの方必見!経費のことなら「経理のガイド」にお任せ

この記事では、経費にできる項目・できない項目の区別から、経費率の平均、注意点、そして節税方法まで、フリーランスエンジニアの経費に関する疑問についてお答えしてきました。

そしてロバスト・スチュワードが運営する「経理のガイド」では完全オンラインで税務相談から会計ソフトへの記帳、確定申告書の作成・提出までサポートすることができます。

そのため個人事業主やフリーランスの方は複雑な経理処理に悩まされることなく、時間的・精神的な負担を大幅に軽減しながら本業に集中することが可能です。

疑問や不安を直接専門家に相談し、自分に最適な経理管理の方法を見つけていきましょう。