個人事業主やフリーランスの方にとって、ガソリン代を経費にできるかどうかは節税対策の重要なポイントです。結論から言えば、業務に使用したガソリン代は経費として計上できますが、プライベートと兼用している場合は按分が必要になります。
この記事では、ガソリン代以外にも経費にできる車関連費用についても触れているため、車を使う事業主の方にとって確定申告や日々の経理処理に役立つ実践的な内容を紹介していきます。
1. 個人事業主のガソリン代は経費になる?全額経費にできる条件や法人との違いを紹介
個人事業主やフリーランスの方にとって、ガソリン代を経費として計上できるかどうかは、節税対策として重要なポイントです。車を事業に使用している場合、ガソリン代は適切に処理することで経費として認められますが、全額を経費にできるかどうかは使用状況によって異なります。
この章では、個人事業主がガソリン代を経費にする際の基本的な考え方や、全額経費にするための条件、法人との違いについて詳しく解説します。
1.1 事業用で使ったガソリン代は経費にできる
個人事業主が業務のために車を使用した際のガソリン代は、業務を行うために直接必要な費用として経費計上が認められます。これは所得税法上の必要経費に該当するためです。具体的には、以下のような事業活動に伴うガソリン代が経費として認められます。
| 事業活動の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 顧客訪問・営業活動 | 取引先への訪問、商談のための移動、営業エリアの巡回 |
| 商品の配送・仕入れ | 商品の納品、材料や商品の仕入れのための移動 |
| 現場への移動 | 工事現場、施工現場、作業現場への往復 |
| 業務に関する移動 | 銀行や税務署への手続き、セミナーや研修への参加 |
| 商品やサンプルの運搬 | 展示会への搬入、サンプル品の配達 |
ただし、経費として認められるのは業務に関連する使用分のみであり、プライベートでの使用分は経費にできません。「通勤」にかかるガソリン代も一見、経費になりそうですが、原則として経費にはなりません。これは、通勤は業務そのものを行うための活動ではなく、業務を開始する前の移動(自宅から事業所への移動)とみなされるためです。
一方で、自宅が事業所を兼ねている場合、そこから顧客訪問や納品などのため に出かける際のガソリン代は、業務に関連する移動として経費に計上することができます。
また、経費として認められるためには、ガソリンを購入した事実を証明できる レシートや領収書を保管し、帳簿に適切に記録することが求められます。
1.2 ガソリン代を全額経費にするための条件について
ガソリン代を全額経費として計上したい場合、いくつかの条件を満たす必要があります。基本的に、車両を100%事業目的のみに使用していることが証明できる場合に限り、ガソリン代の全額を経費にすることができます。
全額経費にするための主な条件は以下の通りです。
| 条件 | 詳細 |
|---|---|
| 事業専用車である | 業務のためだけに使用する車両を保有しており、プライベートでは一切使用していないこと |
| 使用記録の証明 | 運転日誌や走行記録などで、すべての使用が業務目的であることを証明できること |
| 社用車としての明確な位置づけ | 車両の使用目的が明確に業務用として定義されており、他の車両でプライベート移動を行っていること |
| 適切な記録の保管 | レシートや領収書、走行記録を継続的に保管し、税務調査時に提示できること |
実務上、個人事業主の場合は自宅と事業所が同じであることが多く、車両を完全に事業専用とすることは難しいケースが一般的です。そのため、多くの個人事業主は事業使用分とプライベート使用分を分けて計上しています。
また、全額経費にする場合、税務調査の際に事業専用であることを客観的に証明できる資料の準備が不可欠です。具体的には以下のような記録を残しておくことが推奨されます。
- 走行記録(日付、目的地、走行距離、業務内容)
- ガソリン購入時のレシート・領収書
- 訪問先リストや営業日報
- 事業用とプライベート用で車両を分けている証拠(もう一台の車の所有証明など)
これらの記録がない状態で全額を経費計上すると、税務調査で否認されるリスクが高いため、適切な按分割合(使った人や目的に応じて費用を分けること)での計上を検討することも重要です。
1.3 法人名義でガソリン代を経費にする際との違い
個人事業主と法人では、ガソリン代を経費として計上する際の取り扱いに違いがあります。法人所有の車の場合は社用車という明確な位置づけがあるため、原則としてガソリン代は経費計上が可能です。
| 項目 | 個人事業主 | 法人 |
|---|---|---|
| 車両の所有形態 | 個人名義の車両を事業に使用 | 法人名義の社用車として管理 |
| 按分の必要性 | プライベート使用がある場合は按分が必須 | 社用車として明確に管理されていれば按分不要の場合も |
| 証明の厳格さ | 事業使用を厳格に証明する必要がある | 業務用として認められやすい |
| 経費計上の範囲 | 事業に関連する部分のみ | 社用車に関する費用は原則すべて経費 |
| 税務調査の視点 | プライベート使用の混在を厳しくチェック | 社用車としての適正な管理を確認 |
法人の場合、会社名義で車両を購入し社用車規程を定めることで、ガソリン代を含む車両関連費用を全額法人の経費として計上しやすくなります。ただし、役員や従業員が社用車を私的に使用した場合は、その部分が給与として課税される可能性があるため注意が必要です。
2. ガソリン代の経費の勘定科目の種類と選ぶ判断基準を紹介
ガソリン代を経費として計上する際には、適切な勘定科目を選択する必要があります。ガソリン代を経費として計上するときに使える勘定科目としては複数考えられますが、業務目的や会計処理の方針に応じて最適な科目を選びましょう。
ここでは、主要な4つの勘定科目とそれぞれの選び方の判断基準を詳しく解説します。
| 勘定科目 | 適用場面 | メリット |
|---|---|---|
| 車両費 | 車に関する費用をまとめて管理したい場合 | 車関連の支出を一元管理できる |
| 旅費交通費 | 営業活動や出張時の移動費として処理する場合 | 他の交通費と統一して管理できる |
| 燃料費 | ガソリン代を独立した科目として明確化したい場合 | 燃料費だけの推移を把握しやすい |
| 消耗品費 | 少額で頻繁に購入する消耗品として扱う場合 | 他の消耗品と一緒に処理できる |
2.1 車両費として計上する方法
車両費は、自動車の維持管理に関わるあらゆる費用を一つの勘定科目にまとめて管理できるため、最も多くの事業者に選ばれている勘定科目です。ガソリン代だけでなく、車検費用、修理代、タイヤ交換費用、洗車代なども同じ車両費として計上できます。
車両費を選択するメリットは、車に関する経費を一元管理できるため、年間でどれくらいの車両維持費がかかっているかを把握しやすい点にあります。
特に運送業、配送業、訪問営業を行う事業者など、車両の使用頻度が高く、車関連の支出が多い業種では車両費として計上することが一般的です。
確定申告の際にも、車両費の内訳を説明しやすく、税務調査があった場合にも事業に必要な支出であることを明確に示せます。
2.2 旅費交通費として計上する方法
旅費交通費は、業務のための移動に関わる費用を計上する勘定科目で、電車代、バス代、タクシー代、高速道路料金などと同じ科目でガソリン代を処理する方法です。
この勘定科目を選ぶ判断基準としては、車両の使用頻度がそれほど高くない場合や、公共交通機関の利用と車の利用が混在している業務形態の場合に適しています。
例えば、普段は電車で移動し、荷物が多い時や遠方への訪問時のみ車を使用するようなケースです。旅費交通費として計上するメリットは、移動にかかる費用全体を一つの科目で管理できるため、営業活動や出張にかかる総コストを把握しやすい点にあります。
特にコンサルタントや営業職のフリーランスなど、移動費全般の管理を重視する場合に適した選択肢となります。
ただし、車両の維持費や修理代などは別の勘定科目(車両費や修繕費)で処理する必要があるため、車関連の支出が分散してしまう点には注意が必要です。
2.3 燃料費として計上する方法
燃料費は、ガソリンや軽油などの燃料代を独立した勘定科目として計上する方法です。車両費や旅費交通費とは別に、燃料代だけを明確に区分して管理したい場合に選択します。
燃料費を独立させる判断基準としては、燃料代の支出額が大きく、その変動を詳細に把握する必要がある事業の場合です。
例えば、運送業や配送業など、車両の燃費管理が経営上重要な業種では、燃料費を独立した科目にすることで、月ごとや車両ごとの燃料費の推移を分析しやすくなります。
また、複数の車両を保有している場合や、軽油とガソリンの両方を使用している場合にも、燃料費として独立させることで、燃料の種類別や車両別の費用管理が容易になります。
ただし、燃料費という勘定科目は一般的な会計ソフトには標準設定されていない場合もあるため、自分で科目を追加設定する必要があることがあります。
2.4 消耗品として計上する方法
消耗品費は、事業で使用する少額で頻繁に購入する物品の費用を計上する勘定科目で、ガソリン代もこの科目で処理することができます。文房具、日用品、事務用品などと同じ科目になります。
消耗品費を選択する判断基準としては、車の使用頻度が低く、ガソリン代の支出額も少額である場合に適しています。
例えば、月に数回程度しか車を使わない事業者や、主に自宅作業でたまに打ち合わせに出かける程度の使用頻度であれば、消耗品費として処理しても問題ないでしょう。
この科目を選ぶメリットは、既に使用している消耗品費の勘定科目をそのまま活用できるため、新たに科目を設定する手間が不要な点です。ただし、消耗品費には様々な支出が混在するため、ガソリン代だけの金額を抽出することが難しくなります。
そのため、将来的に車の使用が増える見込みがある場合や、経費の内訳を詳細に管理したい場合には、車両費や燃料費など、より明確な科目を選択することをおすすめします。
業務の実態に合った勘定科目を最初にしっかりと選択し、継続的に使用するようにしましょう。
3. 按分とは?ガソリン代を経費にする際の計算方法や按分割合のポイントを紹介

按分とは、業務利用とプライベート利用の使用実態に応じて費用を合理的に分ける計算方法のことです。
按分を行う際には、業務に使用した割合を明確に説明できる根拠が必要です。税務調査が入った際にも、按分割合の妥当性を証明できるよう、客観的な基準に基づいて計算することが重要になります。
ここでは、按分割合を求める具体的な方法と、按分割合を決める際に押さえておくべきポイントについて詳しく解説します。
3.1 按分割合を求める方法|走行距離・使用時間・使用日数
ガソリン代の按分割合を求める方法には、主に「走行距離」「使用時間」「使用日数」の3つの基準が考えられます。どの方法を選択するかは、業種や車の使用状況によって異なりますが、いずれの方法でも客観的なデータに基づいて計算することが求められます。
以下の表は、3つの按分方法の特徴をまとめたものです。
| 按分方法 | 計算の基準 | 向いている業種・ケース | 記録方法の例 |
|---|---|---|---|
| 走行距離 | 事業用走行距離÷総走行距離 | 営業や配達など移動距離が明確な業種 | 運転日誌、カーナビの履歴 |
| 使用時間 | 事業用使用時間÷総使用時間 | 時間単位で業務が区切られている業種 | 業務日誌、タイムカード |
| 使用日数 | 事業用使用日数÷総使用日数 | 週単位や月単位で稼働日が決まっている業種 | 業務カレンダー、スケジュール帳 |
3.1.1 走行距離で按分する方法
走行距離による按分は、最も一般的で税務署にも認められやすい按分方法です。総走行距離に対して業務のために走行した距離の割合を計算します。
具体的な計算式は以下の通りです。
按分割合 = 事業用走行距離 ÷ 総走行距離 × 100
例えば、1ヶ月の総走行距離が1,000kmで、そのうち事業用の走行距離が600kmだった場合、按分割合は60%となります。月間のガソリン代が20,000円であれば、経費にできるのは12,000円(20,000円×60%)です。
走行距離を記録する方法としては、運転日誌をつける、カーナビの走行履歴を保存する、スマートフォンのアプリで記録するなどがあります。毎回の運転について、日付・出発地・目的地・走行距離・用件を記録しておくと、税務調査の際にも説明がしやすくなります。
3.1.2 使用時間で按分する方法
使用時間による按分は、1日の総使用時間のうち業務のために使用した時間の割合で計算する方法です。タクシーや配送業など、時間単位で業務を行う業種に適しています。
計算式は以下の通りです。
按分割合 = 事業用使用時間 ÷ 総使用時間 × 100
例えば、1ヶ月で車を100時間使用し、そのうち70時間を業務のために使用した場合、按分割合は70%となります。
使用時間を記録する際には、業務日誌やタイムカードに車の使用開始時刻と終了時刻を記入する方法が有効です。デジタルツールを活用して、GPS機能と連動した時間記録を残すことも、客観性を高める上で効果的です。
3.1.3 使用日数で按分する方法
使用日数による按分は、1ヶ月または1年の総使用日数のうち、業務のために使用した日数の割合で計算します。週5日勤務のフリーランスや、稼働日が明確な業種に向いている方法です。
計算式は以下の通りです。
按分割合 = 事業用使用日数 ÷ 総使用日数 × 100
例えば、1ヶ月30日のうち20日を業務のために使用した場合、按分割合は約67%となります。
ただし、使用日数による按分は、走行距離や使用時間と比べると精度が低くなる可能性があります。例えば、業務のために1日に長距離を走行する日と、プライベートで短距離だけ使用する日では、ガソリンの消費量が大きく異なるためです。
そのため、使用日数による按分を採用する場合は、1日あたりの使用状況がある程度均一であることが前提となります。
3.2 ガソリン代の按分割合を決める際のポイント
按分割合は一度決めたら終わりではなく、業務の実態に合わせて適切に設定し、その根拠を明確にしておくことが重要です。ここでは、按分割合を決める際に特に注意すべき2つのポイントについて解説します。
3.2.1 事業利用とプライベート利用の基準を明確にする
按分計算を正確に行うためには、何を業務利用とし、何をプライベート利用とするかの基準を明確に定めておく必要があります。
業務利用と判断できる具体例は以下の通りです。
- 取引先への訪問や営業活動
- 商品の配送や仕入れのための移動
- 打ち合わせや会議への移動
- 業務に必要な物品の購入のための移動
- 事業用の銀行口座への入出金や税務署への訪問
一方、プライベート利用と判断されるのは以下のようなケースです。
- 家族との買い物や食事
- 私的な用事での外出
- 趣味やレジャーのための移動
- 通勤(自宅兼事務所以外に事務所がある場合)
判断が難しいケースとしては、業務とプライベートが混在する移動があります。例えば、取引先への訪問の帰りに私用で買い物をした場合などです。このような場合は、主たる目的が何であったかを基準に判断し、記録に残しておくことが重要です。
3.2.2 按分割合の根拠を帳簿やメモで残しておく
税務調査では、按分割合が合理的であるかどうかが確認されます。そのため、按分割合を算出した根拠となる記録を継続的に保管しておくことが不可欠です。
具体的に保管すべき記録は以下の通りです。
| 記録の種類 | 記載すべき内容 | 保管方法の例 |
|---|---|---|
| 運転日誌 | 日付、出発地、目的地、走行距離、用件(業務用/私用) | ノート、Excelファイル、運転日誌アプリ |
| 業務記録 | 業務内容、訪問先、所要時間 | スケジュール帳、業務管理システム |
| 按分計算書 | 計算式、月別の按分割合、年間平均 | 会計ソフト、Excelファイル |
| 走行記録 | カーナビやスマートフォンアプリの走行履歴 | データのバックアップ、スクリーンショット |
按分割合は毎月変動する可能性がありますが、極端に変動すると税務署から疑問を持たれる可能性があります。一般的には、年間を通じて一定の按分割合を使用するか、四半期や半期ごとに見直して平均値を使用する方法が推奨されます。
また、按分割合を変更する場合は、その理由を明確にしておくことが重要です。例えば、「新規事業を開始したため営業エリアが拡大した」「在宅勤務が増えて移動が減少した」など、合理的な理由があれば説明がしやすくなります。
記録は最低でも7年間(青色申告の場合)は保管する義務がありますので、紙の記録だけでなく、デジタルデータとしてもバックアップを取っておくと安心です。
4. 【支払い方法別】ガソリン代の経費の仕訳方法を具体的に解説!
ガソリン代を経費として計上する際、支払い方法によって仕訳の方法が異なります。
ここでは、現金払い、クレジットカード払い、立替払いの3つのパターンについて、具体的な仕訳例を交えて解説します。正確な仕訳処理を行うことで、税務調査の際にも説明しやすくなり、適切な経費計上が可能になります。
4.1 現金で支払った場合の仕訳例
ガソリンスタンドで現金払いをした場合、最もシンプルな仕訳方法となります。支払った日付で経費を計上し、貸方に現金を記入します。
現金払いの場合は支払いと経費計上のタイミングが同じになるため、仕訳が分かりやすく管理しやすいのが特徴です。
【仕訳例1】事業用車両に5,000円分のガソリンを現金で給油した場合
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車両費 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 |
【仕訳例2】按分が必要な車両に8,000円分のガソリンを現金で給油し、事業利用割合が60%の場合
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車両費 | 4,800円 | 現金 | 8,000円 |
| 事業主貸 | 3,200円 |
按分が必要な場合は、業務利用分のみを経費として計上し、プライベート利用分は「事業主貸」として処理します。この例では8,000円×60%=4,800円を経費とし、残りの3,200円を事業主貸として処理しています。
4.2 クレジットカードで支払った場合の仕訳例
クレジットカードでガソリン代を支払った場合、給油日と実際の引き落とし日が異なるため、仕訳を2段階で行う必要があります。給油した時点で経費を計上し、引き落とし時に未払金を消し込む処理が基本的な流れとなります。
【仕訳例1】給油日(12月15日)に6,000円分のガソリンをクレジットカードで給油した場合
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車両費 | 6,000円 | 未払金 | 6,000円 |
【仕訳例2】引き落とし日(翌月1月10日)に口座から引き落とされた場合
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 6,000円 | 普通預金 | 6,000円 |
クレジットカードを使用することで、利用明細が自動的に記録されるため、レシートを紛失した場合でも支払いの証明が可能になります。また、ポイントやキャッシュバックが付与される場合もあり、実質的なコスト削減にもつながります。
事業用のクレジットカードを1枚用意しておくと、経費とプライベート支出の区別が明確になり、経理処理が格段に楽になります。
4.3 従業員や家族が立て替えた場合の仕訳例
従業員や家族が業務でガソリン代を立て替えた場合、後日精算する形になります。この場合、立替時と精算時の2段階で仕訳を行います。
【仕訳例1】従業員が4,500円のガソリン代を立て替えた場合(立替時)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車両費 | 4,500円 | 未払金 | 4,500円 |
【仕訳例2】従業員に現金で精算した場合(精算時)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 4,500円 | 現金 | 4,500円 |
従業員への精算を銀行振込で行う場合は、貸方を「普通預金」として処理します。
【仕訳例3】家族(事業主の配偶者など)が7,000円のガソリン代を立て替えた場合
個人事業主の場合、家族が立て替えた際の処理方法は従業員と同様ですが、簡便的に「事業主借」を使う方法もあります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車両費 | 7,000円 | 事業主借 | 7,000円 |
立替精算の際は必ずレシートや領収書を提出してもらい、給油日・場所・金額が確認できるように保管しましょう。税務調査の際に、立替の事実とその妥当性を証明する重要な資料となります。
また、立替精算が頻繁に発生する場合は、法人カードやETCコーポレートカードなどを従業員に貸与することで、経理処理の手間を大幅に削減できます。
5. ガソリン代のレシートがない時の対処法とは?インボイス制度での注意点も紹介
ガソリン代を経費として計上するには、原則としてレシートや領収書などの証憑書類が必要です。
しかし、うっかり紛失してしまったり、そもそももらい忘れたりするケースもあるでしょう。また、2023年10月から始まったインボイス制度により、ガソリンスタンドのレシートの扱いにも変化が生じています。
ここでは、レシートがない場合の対処法と、インボイス制度導入後の注意点について詳しく解説します。
5.1 レシートや領収書を紛失した場合の対処法
ガソリン代のレシートや領収書を紛失してしまった場合でも、いくつかの対処法があります。ただし、原則として証憑書類なしで経費計上することは税務上のリスクがあるため、可能な限り再発行や代替手段を検討することが重要です。
まず、クレジットカードで支払った場合は、カード会社の利用明細書が証憑書類の代わりになります。利用明細には日付、金額、利用先が記載されているため、ガソリンスタンドでの購入であることが確認できれば経費として認められる可能性が高くなります。
ただし、インボイス制度導入後は、消費税の仕入税額控除を受けるためには適格請求書(インボイス)が必要になる点に注意が必要です。
電子マネーやQRコード決済を利用した場合も、アプリの利用履歴やメール通知が証拠となります。決済アプリには取引履歴が残るため、スクリーンショットを保存したり、PDFで出力したりして保管しておきましょう。
また、ガソリンスタンドによっては、会員カードや給油カードを利用している場合、後日利用明細を発行してもらえることがあります。
特に法人カードや給油専用カードを使用している場合は、月次の利用明細書が自動的に発行されるケースも多いため、それを活用することができます。
どうしても証憑が入手できない場合は、以下の情報を記録した出金伝票を作成することで対応します。
| 記載項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 日付 | 給油した日付を正確に記載 |
| 支払先 | ガソリンスタンドの名称と所在地 |
| 金額 | 支払った金額(税込) |
| 内容 | ガソリン○リットル、軽油○リットルなど具体的な内容 |
| 目的 | 訪問先や業務内容など事業目的を明記 |
ただし、出金伝票だけでは消費税の仕入税額控除は受けられないため、やむを得ない場合の最終手段として考えるべきです。税務調査の際には、なぜレシートがないのか合理的な説明ができるよう、状況を記録しておくことが重要です。
5.2 インボイス制度でレシートの扱いがどう変わる?注意点を解説
2023年10月1日から開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、消費税の仕入税額控除を受けるための要件が変更されました。これにより、ガソリンスタンドで受け取るレシートにも新たな要件が求められるようになっています。
ここでは、インボイス制度導入後のガソリン代レシートの扱いについて、押さえておくべきポイントを解説します。
5.2.1 インボイス対応レシートには登録番号・税率・消費税額の記載が必要
インボイス制度のもとで消費税の仕入税額控除を受けるためには、適格請求書(インボイス)の保存が必要です。ガソリンスタンドのレシートがインボイスとして認められるには、以下の項目が記載されている必要があります。
| 記載事項 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 適格請求書発行事業者の登録番号 | Tから始まる13桁の番号(例:T1234567890123) |
| 取引年月日 | 給油した日付 |
| 取引内容 | 軽減税率の対象品目である場合はその旨も記載 |
| 税率ごとに区分して合計した対価の額 | 10%対象分の金額 |
| 税率ごとに区分した消費税額等 | 10%の消費税額を明記 |
| 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称 | 宛名(簡易インボイスの場合は省略可) |
最も重要なのは、ガソリンスタンドが適格請求書発行事業者として登録されており、その登録番号がレシートに印字されているかという点です。
大手のガソリンスタンドチェーンは基本的に登録済みですが、個人経営の小規模なスタンドの中には登録していない事業者もあります。
登録番号は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認することができます。定期的に給油するガソリンスタンドが決まっている場合は、事前に確認しておくとよいでしょう。
5.2.2 3万円未満でもインボイス対応が必要に
インボイス制度導入前は、1回の取引が3万円未満の場合、請求書等の保存がなくても一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められる「少額特例」がありました。
しかし、インボイス制度導入後は、金額に関わらず原則として適格請求書の保存が必要になります。
ただし、経過措置として、2023年10月1日から2029年9月30日までの6年間は、基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者については、1万円未満の課税仕入れについて帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。(いわゆる少額特例)
この経過措置により、多くの個人事業主やフリーランスの方は、少額のガソリン代であればレシートを紛失しても大きな問題にはなりません。
ただし、この特例が適用されるのは2029年9月末までであり、その後は金額に関わらずインボイスの保存が必須となる点に注意が必要です(2025年現在の法令等に基づきます)。
5.2.3 簡易インボイスとして扱えるレシートもある
不特定多数の顧客に対して販売を行う小売業、飲食店業、タクシー業などの事業者は、通常の適格請求書よりも記載事項が簡略化された「適格簡易請求書(簡易インボイス)」を交付することができます。
ガソリンスタンドもこの対象業種に含まれるため、多くのガソリンスタンドのレシートは簡易インボイスとして発行されています。
簡易インボイスでは、以下の点が通常のインボイスと異なります。
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称の記載が不要
- 税率ごとの消費税額または適用税率のいずれか一方の記載でよい
実際のガソリンスタンドのレシートには、登録番号、取引年月日、取引内容、税込金額、税率ごとの消費税額が記載されており、これらの要件を満たしていれば簡易インボイスとして有効です。
給油の際には、レシートに登録番号(T番号)が印字されているか確認する習慣をつけましょう。もし登録番号がない場合は、そのガソリンスタンドは適格請求書発行事業者として登録していない可能性があり、消費税の仕入税額控除を受けられない可能性があります。
なお、適格請求書発行事業者ではないガソリンスタンドで給油した場合でも、経費として計上すること自体は可能です。
ただし、消費税の仕入税額控除については、2026年9月末までは80%、2029年9月末までは50%の経過措置があるものの、それ以降は全額控除できなくなります。
6. 軽油とガソリンの違いによる税金と経理処理の特徴とは?仕訳のポイントや軽油引取税の扱い方について

ディーゼル車を業務で使用している場合、ガソリン車とは異なる税金や経理処理が必要になります。特に軽油引取税の扱いは、ガソリン代の経理処理と異なる点があるため、正しい知識を持って処理することが重要です。
ここでは、軽油とガソリンの税金の違いや、それぞれの燃料における仕訳方法の違いについて詳しく解説します。
6.1 軽油引取税とは?消費税との関係や申請手続きの方法を紹介
軽油引取税は、軽油の引取り(購入)時に課される地方税(道府県税)です。ガソリンスタンドで軽油を購入する際、1リットルあたり32.1円の軽油引取税が自動的に含まれています。軽油引取税の最も重要な特徴は、消費税の課税対象外である点です。通常、ガソリンには揮発油税や地方揮発油税が含まれた価格に対して消費税が課税されますが、軽油引取税は消費税の対象外となります。
| 項目 | ガソリン | 軽油 |
|---|---|---|
| 主な税金 | 揮発油税・地方揮発油税 | 軽油引取税 |
| 税金の種類 | 国税 | 地方税(道府県税) |
| 消費税の課税対象 | 価格全体に課税 | 軽油引取税は課税対象外 |
| 税率(2024年時点) | 53.8円/L | 32.1円/L |
軽油引取税の申請手続きについては、基本的に特別な手続きは不要です。
ガソリンスタンドで軽油を購入する際に、自動的に軽油引取税が上乗せされた価格を支払うことになります。ただし、特定の用途(農業用、船舶用など)で軽油を使用する場合には、免税や還付の制度が適用されることがあります。
免税軽油の使用を希望する場合は、事前に都道府県税事務所に免税軽油使用者証の交付申請を行う必要があります。承認された場合、免税証を提示することで軽油引取税が免除された軽油を購入できます。
6.2 ガソリンと軽油の仕訳例の違いを解説
ガソリンと軽油では、消費税の扱いが異なるため、仕訳方法にも違いが生じます。特に軽油の仕訳では軽油引取税に消費税を認識してはいけない点に注意が必要です。
以下、具体的な仕訳例を見ていきましょう。
6.2.1 ガソリン代の仕訳例(税抜経理方式)
ガソリン5,500円分を現金で購入した場合(消費税10%含む)の仕訳は以下の通りです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車両費 | 5,000円 | 現金 | 5,500円 |
| 仮払消費税 | 500円 |
ガソリン価格には揮発油税等が含まれていますが、これらの税金を含めた総額に対して消費税が課税されるため、通常通り消費税を分けて処理します。
6.2.2 軽油代の仕訳例(税抜経理方式)
軽油を5,500円分購入した場合を考えてみましょう。レシートの内訳が以下の通りだったとします。
- 軽油本体価格:3,800円
- 軽油引取税:1,320円
- 消費税(本体価格のみに課税):380円
- 合計:5,500円
この場合の仕訳は以下のようになります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車両費 | 5,120円 | 現金 | 5,500円 |
| 仮払消費税 | 380円 |
消費税として処理するのは、軽油本体価格3,800円に対する消費税380円のみです。なお、上記では消費税の課税対象外の軽油引取税1,320円はその全額を本体価格と合わせて車両費として計上しましたが、軽油引取税1,320円を本体価格とは分けて租税公課で計上する方法も考えられます。
6.2.3 税込経理方式での処理
税込経理方式を採用している場合は、シンプルになります。
ガソリン5,500円の場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車両費 | 5,500円 | 現金 | 5,500円 |
軽油5,000円の場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車両費 | 5,500円 | 現金 | 5,500円 |
税込経理方式では、どちらも支払総額をそのまま経費として計上するため、表面上の仕訳に違いはありません。ただし、確定申告時の消費税額計算のため、消費税区分の選択としては軽油引取税に該当する金額が消費税の課税対象外であることを理解しておく必要があります。
不明な点がある場合は、税理士や税務署に相談することをおすすめします。
7. 個人事業主の方必見!ガソリン代を経費で計上する際の3つの注意点について
個人事業主がガソリン代を経費計上する際には、適切な処理を行わないと税務調査で指摘を受ける可能性があります。ここでは、ガソリン代の経費計上において特に注意すべき3つのポイントについて詳しく解説します。
7.1 一度決めた勘定科目は原則として変更しない
ガソリン代を経費計上する際、最も重要な注意点の一つが勘定科目の継続性を保つことです。会計処理においては「継続性の原則」という会計原則があり、一度選択した会計処理方法は継続して適用することが求められます。
例えば、今年は「車両費」として計上し、翌年は「旅費交通費」に変更するといった処理は避けるべきです。勘定科目を頻繁に変更すると、以下のような問題が生じる可能性があります。
| 問題点 | 具体的な影響 |
|---|---|
| 経営分析の困難化 | 年度間での費用比較ができなくなり、正確な経営判断が難しくなる |
| 税務調査での指摘リスク | 意図的な利益操作と疑われる可能性があり、追加の説明や調査対応が必要になる |
| 記帳業務の混乱 | どの勘定科目を使用すべきか迷いが生じ、記帳ミスが増える |
ただし、事業内容が大きく変わったり、より適切な会計処理方法が見つかった場合など、合理的な理由がある場合には勘定科目の変更も認められます。その際は、変更理由を明確に記録しておくことが重要です。
また、複数の車両を所有している場合や、車両の用途が明確に異なる場合は、用途ごとに異なる勘定科目を使用することも可能です。重要なのは、同じ性質の支出については同じ勘定科目を継続して使用することです。
7.2 レシートや領収書を必ず控えるようにする
ガソリン代を経費として認めてもらうためには、支払いの事実を証明できる証拠書類の保管が必須です。レシートや領収書は、税務調査において経費の正当性を証明する最も重要な証拠となります。
レシートや領収書を保管する際には、以下の点に注意が必要です。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 日付 | 給油した日付が明記されているか |
| 金額 | 支払金額が明確に記載されているか |
| 給油量・単価 | リットル数と単価が記載されているか(消費税の計算に必要) |
| 店舗名 | どのガソリンスタンドで給油したかが分かるか |
| 車両情報 | どの車両に給油したかが分かるようメモを残しているか |
セルフ給油の場合、レシートに「車両費」や「ガソリン」といった記載がない場合もあります。そのため、レシートの裏面や帳簿に給油した車両や走行距離、目的などを記載しておくことをおすすめします。
また、保管期間についても注意が必要です。個人事業主の場合、原則として確定申告期限から7年間(青色申告の場合)、白色申告の場合は5年間の保管義務があります。
電子データでの保管も認められていますが、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。クレジットカードで支払った場合は、レシートに加えてクレジットカードの利用明細書も保管しておくと、より確実な証拠となります。
7.3 ガソリンの未使用分は貯蔵品として処理する
厳密な会計処理を行う場合、決算時に給油したガソリンのうち車両のタンク内に残っている未使用分は「貯蔵品」として資産計上する必要があります。これは、発生主義会計の原則に基づく処理です。
例えば、12月28日に満タン給油をして5,000円支払ったものの、12月31日の決算日までに半分しか使用していない場合、理論上は以下のような処理が必要になります。
| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 12/28(給油時) | 車両費 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 |
| 12/31(決算時) | 貯蔵品 | 2,500円 | 車両費 | 2,500円 |
| 1/1(翌期首) | 車両費 | 2,500円 | 貯蔵品 | 2,500円 |
ただし、実務上はガソリンの未使用分を貯蔵品として処理しないことが一般的に認められています。その理由は以下の通りです。
- ガソリンタンク内の残量を正確に把握することが困難である
- 個人事業主のガソリン代は比較的少額であり、重要性が低い
- 毎期継続して同じ処理を行えば、期間損益への影響は限定的である
- 実務上の手間とコストが経済的メリットを上回る
そのため、多くの個人事業主は給油時点で全額を経費計上する簡便的な方法を採用しています。ただし、以下のような場合には貯蔵品処理を検討する価値があります。
- 決算直前に大量のガソリンを給油した場合
- 複数の車両を所有しており、ガソリン代の金額が大きい場合
- 期末に極端に多額のガソリン代が発生した場合
重要なのは、一度採用した処理方法を継続して適用することです。給油時に全額経費計上する方法を選択した場合は、毎年同じ方法で処理を行い、恣意的に変更しないようにしましょう。
また、青色申告の場合は複式簿記による記帳が求められるため、より正確な会計処理が必要になる場合があります。不安な場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
8. ガソリン代だけじゃない!経費にできる車関連費用を紹介
ガソリン代以外にも、事業で車両を使用する際には様々な費用が発生します。これらの費用も適切に経費計上することで、節税効果を高めることができます。ここでは、経費にできる主な車関連費用について詳しく解説します。
8.1 車両購入費(減価償却費):高額な車は数年に分けて経費にできる
事業用の車両を購入した場合、その購入費用は原則として減価償却によって税法上の耐用年数により数年間に分けて経費計上します。車両は時間の経過とともに価値が減少する資産であるため、一度に全額を経費にするのではなく、耐用年数に応じて配分することが求められます。
車両の法定耐用年数は以下の通りです。
| 車両の種類 | 耐用年数 |
|---|---|
| 普通自動車(新車) | 6年 |
| 軽自動車(新車) | 4年 |
| 中古車 | (法定耐用年数ー経過年数)+(経過年数×0.2)(耐用年数が短縮される) |
ただし、10万円未満の車両は消耗品費として購入し利用を開始した年分で全額を経費計上できます。また、青色申告を行っている個人事業主の場合、30万円未満の車両であれば少額減価償却資産の特例により、年間合計300万円までその年分での全額の償却が可能です。
プライベートでも使用する場合は、ガソリン代と同様に按分計算を行い、業務利用分のみを経費として計上します。
8.2 保険料:事業用の自動車保険は経費にできる
業務で使用する車両にかけている自動車保険料も経費として計上できます。自賠責保険(強制保険)と任意保険のいずれも対象となります。
自動車保険料を経費計上する際の勘定科目は以下のようになります。
| 保険の種類 | 勘定科目 |
|---|---|
| 自賠責保険 | 保険料または車両費 |
| 任意保険(車両保険含む) | 保険料または車両費 |
なお、自賠責保険は通常、車検時に次回車検までの期間分を一括で支払います。この場合、2年分または3年分の保険料の支払であることから、原則であれば前払費用により期間按分して経費とすることが求められます。しかしながら、金額的な重要性に乏しいことや、強制加入という公的な性格から、実務上は自賠責保険料を支払った年分に全額を経費計上することも慣例として広く認められています。。
業務利用とプライベート利用で兼用している車両の場合は、走行距離や使用日数などの按分基準に基づいて業務利用分のみを経費計上します。保険料の按分も、ガソリン代と同じ比率を用いることが一般的です。
8.3 税金:自動車税や重量税は租税公課で処理が可能
車両を所有していると、様々な税金が課せられます。事業用車両に関する税金は経費として計上でき、勘定科目は「租税公課」を使用します。
経費にできる主な車関連の税金は以下の通りです。
| 税金の種類 | 概要 | 支払時期 |
|---|---|---|
| 自動車税(種別割) | 毎年4月1日時点の車両所有者に課される税金 | 年1回(5月頃) |
| 軽自動車税(種別割) | 軽自動車の所有者に課される税金 | 年1回(5月頃) |
| 自動車重量税 | 車両の重量に応じて課される税金 | 車検時(新車購入時・車検時) |
| 環境性能割 | 車両取得時に課される税金(旧自動車取得税) | 車両取得時 |
これらの税金を経費計上するタイミングは、実際に支払った日(現金主義)または納税通知書が届いた日(発生主義)のいずれかを選択できます。ただし、一度選択した方法は継続して適用する必要があります。
プライベートと事業で兼用している車両の場合は、按分計算を行い、業務利用分のみを経費として計上します。
8.4 車検:整備費は経費にできる
車検にかかる費用は、その内容によって勘定科目が異なります。車検費用は大きく分けて法定費用と整備費用に分類されます。
| 費用の種類 | 内容 | 勘定科目 |
|---|---|---|
| 法定費用 | 自賠責保険料 | 保険料または車両費 |
| 法定費用 | 自動車重量税 | 租税公課 |
| 法定費用 | 印紙代(検査手数料) | 租税公課または車両費 |
| 整備費用 | 点検・整備代、部品交換代など | 車両費または修繕費 |
| 整備費用 | 車検代行手数料 | 車両費または支払手数料 |
車検費用の経費計上には、費用の種類ごとに分けて仕訳する方法と、車検費用全体をまとめて車両費として処理する方法があります。後者の方が仕訳が簡単ですが、前者の方がより正確な経理処理となります。
なお、車検時に行う大規模な修理や部品交換で、車両の価値を高めたり使用可能期間を延長させたりするものは、「修繕費」ではなく「資本的支出」として固定資産に計上し、減価償却を行う必要がある場合があります。
プライベートと事業で兼用している場合は、他の車関連費用と同様に按分計算を行います。
8.5 駐車場代:月極は「地代家賃」コインパーキングなら「旅費交通費」として経理処理が可能
事業用車両の駐車場代も経費として計上できますが、駐車場の利用形態によって適切な勘定科目が異なります。
| 駐車場の種類 | 勘定科目 | 特徴 |
| 月極駐車場 | 地代家賃または車両費 | 毎月定額で契約している駐車場 |
| コインパーキング | 旅費交通費または車両費 | 外出先で一時的に利用する時間貸し駐車場 |
| 年極駐車場 | 地代家賃または車両費 | 年間契約の駐車場 |
月極駐車場を「地代家賃」として処理する理由は、土地や建物を継続的に賃借している性質があるためです。一方、外出先でのコインパーキングは移動に伴う一時的な費用であるため「旅費交通費」として処理するのが一般的です。
ただし、いずれの場合も「車両費」としてまとめて処理することも認められています。重要なのは、一度選択した勘定科目を継続して使用することです。
自宅兼事務所で事業を行っている場合、自宅の駐車場代を経費にする際は注意が必要です。事業専用の車両を駐車している場合は全額経費計上できますが、プライベートと兼用の車両の場合は按分が必要です。
また、自宅の駐車スペースの一部を事業用車両に使用している場合は、駐車スペース全体の面積に対する事業用車両の占有面積の割合で按分することもあります。
9. フリーランスや個人事業主の方必見!ガソリン代の経費のことなら「経理のガイド」にお任せ
ガソリン代のような日常的に発生する経費の処理は、正確性と継続性が求められる業務です。勘定科目の選択ミス、按分割合の計算間違い、レシートの紛失、仕訳の記帳漏れなど、小さなミスが積み重なると、確定申告時に大きな問題となる可能性があります。
そこで検討したいのが、経理の専門家を活用するという選択肢です。「経理のガイド」を運営するロバストスチュワードでは、経理業務を効率化し、お客様が本業により多くの時間とエネルギーを注ぐことができるようサポートさせて頂いております。
経理の専門家のサポートを受けることで、確定申告もスムーズに進められ、安心して事業運営に集中できる環境を整えることが可能になります。
ガソリン代をはじめとする日々の経費処理を効率化し、本業での成功に向けて時間とエネルギーを集中させることで、フリーランス・個人事業主として長く活躍し続ける未来を一緒に切り拓いていきましょう。